相続税が課税されるのに、その財産はもらえない?
相続財産には、「生命保険の権利の評価」というものがあります。
簡単にいうと、保険契約では、被保険者が健在で、契約者・受取人が死亡した場合、保険証券は相続財産になるというものです。
つまり、この保険証券は死亡事故が発生しておらず、例えば、解約などをすると、解約返戻金が生じるので相続財産となるのです。
次のようなケースを考えてみます。
契約者と受取人が被相続人で、被保険者が今回の相続とは関係ない人(例えば被相続人の兄弟の配偶者など)。加入している保険は簡易保険の10年満期養老保険。保険金額は1000万円。
この場合、遺産分割が整う前に、被保険者が死亡してしまったり、満期が到来した場合どうなるでしょうか。
満期等で保険金が支払われることとなっても、当然、相続人が権利を継承するに決まっていると思われていませんか。それが違うのです。
上記の場合の死亡保険金は被保険者の相続人に、満期保険金は被保険者に支払われるのです。そんなバカなと思われるでしょう。
簡易保険法の第55条にはこうあります。
「終身保険、定期保険、養老保険又は財形貯蓄保険契約(特約に係る部分を除く。)においては、保険契約者が保険金受取人を指定しないとき(保険契約者の指定した保険金受取人が死亡し更に保険金受取人を指定しない場合を含む。)は、次の者を保険金受取人とする。
簡易保険法では、受取人を指定しないと、相続人が権利を継承するのではなく、「無指定の場合」として、被保険者や被保険者の遺族のものになってしまうのです。
しかも、相続税法ではあくまで相続発生時の財産となりますので、もらえない財産を誰かが相続したとして相続税を支払うこととなるのです。
さらには、保険金を受け取った被保険者等は、相続人に保険金を返せば別ですが、相続人からの贈与とされ贈与税が課税される可能性も。
相続できない財産のために、相続税を払う相続人はいません。遺産分割は大変です。
今年になって、なんと3件の申告で上記のようなことが起こりました。もちろん、念のため確認したところ、簡易保険事務センターは「簡易保険法はそうなっていますので、その法律に従うまでです。相続税の申告については税務署に聞いてください」。
国税当局は「相続開始時には財産としてありますので、当然相続財産です」。
当然、誰も助けてくれませんでした(笑)。
幸いにも3件とも無事、遺産分割は整いそうですが、簡易保険が相続財産にある場合は、満期日を確認の上、とにかく受取人を早急に指定しましょう。とんでもないことになりますよ。
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