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自己のために相続の開始があったことを知ったときの解釈

事案

αは、平成 9年12月16日に死亡した。 その後、平成12年 8月18日、甲らは、乙からαの相続債務を通知する内容証明郵便を受領した。 その後、平成13年 3月 6日、乙から貸金請求の訴状が届いたことから、弁護士のもとを訪れ、同月27日、大阪家裁に相続放棄の申述をした。

大阪高裁の判断

(1) 結論 

却下(相続放棄は認められなかった)

(2) 理由 

認定事実に基づいて、まず、抗告人らが「自己のために相続の開始があったことを知った時」がいつであるかを判断する。

上記事実からすれば、抗告人甲江は、幼い頃から被相続人が実の妹であることを知っていたものであり、抗告人甲夫も、昭和41年に養子縁組をした当時から、被相続人が自分の養親の次女いわゆる義理の妹であることを知っていたと認めるべきである。

また、抗告人らは、被相続人が夫も子供もなく死亡したことは、その死亡の当時知っていた。なお、抗告人らは、被相続人の両親も平成 2年 3月以前に死亡していたことも知っていた。

従って、抗告人らは、被相続人の死亡当時、相続開始の事実と自己が法律上相続人となった事実を知ったということもできると考えられる。

抗告人らは、以上の認識に立っていたにもかかわらず、被相続人が戸籍を抜いていたから同人を相続するとは思わなかったというところ、前記分籍の事実を指すようでもあるが、分籍届けは成人した者について新戸籍を編製することを意味するにすぎないから、分籍の点から相続関係がなくなったと信じたとは考えられない。

仮に、抗告人らがかねてからそのように信じていたとしても、乙からの前記通知書には、前記のとおり「法定相続人の貴方様に上記債務をお知らせする次第です。」との文言が明記されていたのであるから、抗告人らは、これによって、自分たちが被相続人の法定相続人であることを知ったものと認めるのが相当である。

抗告人らは、この文言にもかかわらず、なお被相続人の相続人とならないと考えていたと主張し、相続放棄申述書で、抗告人甲江は、乙に電話して、「私らは、αの相続人ではありません。」と言ったと記載しているが、仮にそのように言ったのであれば、その電話の際にその点についてのやりとりがあってしかるべきであるが、電話を受けた乙の従業員は「ああそうですか。」と答えたというのである。

むしろ、抗告人甲江は、乙に対し、自分たちが被相続人の相続人であることは否定せず「αの相続はしていません。」と伝えたので、それ以上のやりとりがなかったと認めるのが自然である。

以上のとおりであるから、抗告人らは、遅くとも平成12年 8月18日またはその後の数日中に、被相続人について相続開始の原因たる事実及び自分たちが法律上相続人となった事実を知ったものと認められる。

(3) 次に、抗告人らの被相続人に相続財産(債務)が、あることの認識について検討するに、抗告人らは遅くとも平成12年 8月18日に受領した乙からの前記通知書によって、被相続人に債務があることを知ったというべきである。

そうすると、相続放棄の期間は、乙からの通知書を受領したときから起算するべきであり、このときから 3ヶ月を経過した平成13年 3月26日にした本件相続放棄の申述は、抗告人らのその余の主張について判断するまでもなく不適法であった却下をまぬがれない。

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